
社会不安障害(SAD)は精神論(気持ちの持ち方)だけでは治りません。
少しでも疑いを感じたり、悩んでいるのであれば、是非、診察を受けてみてください。
もしあなたが、社会不安障害(SAD)を発症しているのであれば、診察を先延ばしにしても苦痛を感じる期間が伸びるだけです。
「社会不安障害(SAD)は病気である」、このことをまずは理解して、積極的に治療を行いましょう。

社会不安障害(SAD)の治療には薬物療法と認知行動療法があります。
一般的には薬物療法のみで治療は行われますが、薬物療法と認知行動療法を組み合わせることもあります。


薬物療法では、薬により脳内の神経伝達物質を正常な状態に戻します。
社会不安障害(SAD)の人は、神経伝達物質であるセロトニンやドーパミンが不足しています。
そこで薬を使って、この不足している脳内のセロトニンの量を増やして、脳内を正常な状態にするのです。
この薬はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)と呼ばれ、効果が実証されている有効な薬です。
私が処方されたSSRIはルボックスでしたが、他にもパキシル、デプロメールなどが一般的です。
副作用も少なく、以前からうつ病の治療に使われていましたが社会不安障害(SAD)にも有効と分かり、平成17年には保険が適用となりました。
SSRIは飲み始めても、すぐには効果が出ませんが、徐々に脳内の神経伝達機能を正常な状態にします。
しかし、症状が改善されたからといって自己判断で服用を止めると、再び社会不安障害(SAD)を再発する恐れがあります。
一般的には、服用には半年から数年の期間を要し、服用を止める時も徐々に量を減らしながら止める必要があります。
ですから、服用に際しては、必ず医師の指示に従うことが大切なのです。

薬物治療の主な柱となるのは、このSSRIですが他にも抗不安薬やβ遮断薬なども併用されます。
抗不安薬はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)に比べて即効性があり、緊張や不安をやわらげる作用があります。
SSRIと一緒に併用したり、人前での発表などのあらかじめ緊張する場面の前に飲んで緊張を抑えるといった使い方をします。
しかし、抗不安薬はSSRIに比べて眠気やめまいなどの副作用が現れやすいのが欠点です。

β遮断薬は緊張や不安によって発生する体の震えや動悸を抑制する働きがあります。
SSRIや抗不安薬は精神に直接作用するのに対し、β遮断薬は身体に直接作用します。
そして、直接的に身体の震えや動悸を鎮めることにより、間接的に精神の安定を計り、不安を解消するのです。
β遮断薬は特定の場面でのみの使用が一般的ですので、「全般性」の人には不向きです。
又、副作用もあり、喘息の人には使用できない等の制約がある薬です。


薬物治療で心配なのは、性格が変わるのではないか?だと思います。
そのような心配は一切ありません。
性格が変わってしまうのではなく、社会不安障害(SAD)のために過度に感じていた恐怖や不安が無くなり、本当の自分になるのです。
元々の性格がおとなしい人は、薬を飲んだからといって粗野な性格になるのではありません。
今まで感じていた不安や恐怖から開放されたことにより、明るく積極的になるでしょうが、やはりおとなしい人はおとなしい性格のままなのです。
ただ、病気の時とは違い、無用におびえることの無い、安らかな日常生活を送ることが出来ます。
又、薬の依存性も医師の指示に従って適切に服用すれば、問題ありません。
副作用は人によって異なります。もし、副作用がつらければ、医師に相談して薬の種類や量を変えてもらい、自分に合った薬物療法を受けましょう。
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