
社会不安障害(SAD)は対人恐怖症と混同されますが、社会不安障害(SAD)には対人恐怖症の症状である妄想性障害や人格障害等の症状は現れません。
しかし、精神科の病名は診断が難しく、医師の個人的判断による所が大きいのが実情です。
したがって同一人物を、ある医師は社会不安障害(SAD)と診断し、別の医師は対人恐怖症や社会恐怖症と診断することもあるかもしれません。
ですが、実際にはこれらの病気には、ほとんど違いはありません。
診断された病名も大事ですが、もっと大事なのは、あなた自身のその症状であり、その症状に対する治療なのです。


社会不安障害(SAD)にはタイプがあり、次の3つに分けられます。
「限局型」・・・社会不安障害(SAD)の症状が出る状況が1つに限定される。
「非全般型」・・・社会不安障害(SAD)の症状が出る状況が2〜3つある。
「全般型」・・・社会不安障害(SAD)の症状が、あらゆる状況で症状が出る。又、「全般型」の患者さんは発症原因として遺伝的要因が強く、発症年齢も低い傾向にある。

近年増加するニートや引きこもりの一因として、この「全般性社会不安障害」が関係していると指摘する専門家もいます。
他人との関わりを、欠かすことの出来ない、この社会において「全般性社会不安障害」の人には社会が恐怖の対象でしかありません。
ですから、社会との関わりを拒絶することで、自らを守っていますが、そんな自分を自分で嫌悪するという抜け出せない苦しみの中にいることが多いのです。
ある調査では社会不安障害(SAD)の患者さんの2割が自殺を考えたことがあるそうです。


社会不安障害(SAD)は10代での発症が多く、又、男性よりも女性に多いと言われています。
10代で発症例が多い理由は、思春期が始まり、「他人の中の自分」を強く意識し始めるためと考えられています。
そのため、人前でのちょっとした失敗が大きなトラウマとなり、発症の引き金となりやすいのです。
しかし、10代以外でも、20代、30代、又は60代等、年代を問わずに社会不安障害(SAD)は発症します。
女性でいえば公園デビュー、PTAへの参加、保護者同士の付き合いなどがきっかけで発症したり、男性の場合は会社での昇進後、部下への訓示、役員会等での発言等がきっかけとなり発症することがあります。
又、定年後に生活環境の変化によって発症するなど、発症自体はいつでも、誰にでも起こりうる病気なのです。


社会不安障害(SAD)がきっかけとなり、「うつ病」 「アルコール依存症」 「パニック障害」等の他の精神的病気を併発させやすくなります。
そして、その併発させる割合は、なんと70%を超えると言われています。
つまり、社会不安障害(SAD)は病気の連鎖を起こすのです。
ですから、「うつ病」 「アルコール依存症」 「パニック障害」の人の中には、社会不安障害(SAD)が発端となって発病した人も多くいると予想されます。
しかし、社会不安障害(SAD)に対する認知度が低いために、この恐ろしい病気の連鎖に気付いていない人も多くいるのです。


日本における社会不安障害(SAD)の潜在的な患者数は300万人以上にも登るとする専門家もいるように、実は現代社会においては特別な病気ではありません。
又、衝撃的なデータとして、アステラス製薬等の製薬会社の合同研究によると約7人に1人は社会不安障害(SAD)の可能性があるというデータがあります。
あくまでも可能性ですので、この数字がそのまま社会不安障害(SAD)の人数ではありません。
しかし、このデータは、多くの人が多かれ少なかれ、耐え難い緊張を感じる場面があり、日常的に不安や苦痛を感じていることを示しています。


一般的には、社会不安障害(SAD)という病気に対する認知度は低く、仕事や日常生活に支障が出ても受診をしない傾向が高くあります。
これは、「発症年齢は10代が最も多い」けれども、実際に「専門医の診察を受けるのは30代からが最も多い」という、発症と治療との時間差にも現れています。
発症の原因や症状は人により様々ですが、大事なのは現実を認め、現実に対してどう対処するか、どのように生きるかです。
あなたはどのように生きたいですか?
社会不安障害(SAD)の兆候が少しでもあるときは、早めに専門医の診察を受けてください。
これからのあなたの人生を左右する大事なことです。
病気を克服し、本当の自分を取り戻して人生を心から楽しめるようになりましょう。私も応援します。
|