
初めて人前で声が震える症状が出たのは、高校1年生くらいの時でした。
それまでは、ごく普通にクラスの中で発表をしたり、先生の質問に答えていたのです。
当時の私は口下手な方でしたが、周りとのコミュニケーションは上手くとれていました。
それが、人前で発表などをする時に、少しずつ声が震えるようになってしまったのです。
当初はそれを、「なんか緊張しちゃったのかな?」と軽く考えていたのですが、震えの症状は段々とひどくなっていきました。
次第に声が震えるのはもちろん、手足まで震えるようになってしまいました。
クラスメイトの前で黒板に問題の答えを書くときなどは、チョークを持つ手が震え、真っ直ぐに文字が書けないほどにまでなったのです。
そんな時は、いつも頭が真っ白になり、体中から異常なほど汗が吹き出てくるきます。
なんとか黒板に答えを書き終わって自分の席に戻ったときは、安心と疲れから、いつも全身から力が抜けたようにグッタリとなっていました。
今考えれば、この時には既に社会不安障害(SAD)を発症していたのだと思います。


意外かもしれませんが当時の私はクラスの中でも目立ちたがり屋な存在でした。
しかし、このようなことが何度も重なるにつれ、だんだんと人の注目を集めたりするのを避けるようになってしまいました。
ただ、休憩中にみんなと遊んだり、体育の時間にスポーツなどをする時などには、何の緊張や震えも無く楽しむことができたのです。
ですから緊張してしまうのは、人前で何かをする時だと気付きました。
それからは、人前での発表等があると、本当に嫌で仕方がありませんでした。
私にとって人前で発表することは緊張すること、つまり醜態をさらすかもしれないことだったのです。
クラス対抗の合唱コンクールなどでも、やはり壇上に上がっただけで緊張してしまいました。
頭の中では、私は大勢のクラスの中の1人にしか過ぎないことは、よく分かっています。
「誰も自分のことなんて、注目していない」と自分に何度も言い聞かせるのですが、それでも震えてしまう自分が情けなかったです。


何度もこのような経験を繰り返す中で、次第に目立ちたがり屋だった自分が、人の目を避けるようになりました。
そして楽しいはずの学校生活が、だんだんと苦痛を感じる場に変わっていってしまったのです。
私が一番怖かったのが、周りから「あいつは情けない奴、弱い奴」と思われることでした。
そのために、異常なまでに他人の評価を恐れるようになり、普通に人と接するだけでも緊張してしまうようになりました。
最初は「大勢の人前だと緊張する」という症状だけだったのが、それが引き金となり「対人緊張」の症状も出始めたのです。
又、後になって、電話が出るのが怖い「電話恐怖症」も併発してしまいました。
「大勢の人前だと緊張する」や「対人緊張」「電話恐怖症」も社会不安障害(SAD)の特徴的な症状です。
当時は社会不安障害(SAD)なんて全く知りませんでしたから、これらの症状を「自分の性格が弱いから」という、間違った思い込みをしていました。
「その当時に社会不安障害(SAD)に対する正しい知識があったら、その後の人生は変わっていたかもしれない」なんてことを時々、思ったりもします。
しかし、そんなことを今さら言っても仕方がありません。大事なのは、過去を後悔することではないのですから・・・。
なんとか高校は卒業しましたが、大学受験に失敗して浪人生活を送ることになりました。
大学受験の失敗も「自分の弱い性格のせい」と思い込み、この先何をやっても、この性格のせいでうまくいかないような気がして、何もする気が起きない時期がありました。
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